不動産名義変更の流れ
相続財産の中に不動産が含まれる場合、相続手続きの中で、被相続人名義の不動産を相続人名義に変える手続が必要になってきます。名義変更をするには、その前の段階で相続人の間で遺産分割協議がまとまり、遺産分割協議書が完成している必要があります。不動産の名義変更手続きは、放置しておくと手続きが複雑になってしまったり、トラブルに発展するケースも多くあります。相続が発生したら、速やかに行うことをお勧め致します。
※民法では、不動産の時効取得が可能なため、一定期間他人に占有されていると、その人の財産とする手続きを進められてしまう可能性があります。また、その他人の占有を防ぐには、きちんとした法的な手続きを取らないと、自分の土地だとしても、逆に訴えられてしまうという場合があります。そのため、不動産の名義変更は、速やかに手続きを行った方が安心です。
不動産の名義変更の方法
不動産の名義変更の大きな流れは以下のとおりです。
- 相続人を確定する
…被相続人の戸籍謄本を出生から死亡まで全て取り寄せて、相続人が誰であるかを明確に特定します。
…戸籍に不足があると法務局で受け付けられません。改製原戸籍なども取り寄せて読む必要があります。 - 相続財産調査
…相続財産となる不動産を特定します。不動産に私道が含まれていたり、文筆が複雑な場合は注意が必要です。
…独自に手続きを進めて、後々相続財産に漏れがあったために、全ての不動産の相続が出来ていなかったというケースも見受けられます。専門家のサポートの元で財産調査を行った方が確実でしょう。 - 遺産分割協議書
…遺産分割協議書の作成を通して、誰が相続財産となる不動産を相続するかを決めます。遺産分割協議書も、法的に有効でなくては受理されませんので、専門家のサポートを受けると確実です。 - 不動産の登記申請
…必要な書類を揃えて法務局に申請します。
…ご自身で手続きする場合は、法務局の窓口で申請書を作成します。
…司法書士に登記申請を依頼すると、オンライン申請が利用可能なため、手続きは非常にスムーズです。 - 登記識別情報
…登記は1~2週間ほどで完了します。
…ご自身で申請した場合は、法務局に出向き自分の名義になった登記識別情報を受け取ります。
…司法書士に依頼した場合は、権利証を司法書士から受け取る形になります。
必要書類
登記に必要な書類は、遺産分割の協議がどのように行われたかで異なります。
法定相続人が1人、もしくは法定相続分で相続をする場合
1.被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本。
2.法定相続人の戸籍謄本。
3.法定相続人の住民票。
4.相続する不動産の固定資産税評価証明書書類は、市区町村役場で取得することができますが、東京23区の不動産についての固定資産税評価証明書は都税事務所で取得します。
遺産分割協議で決めた割合で相続をする場合
1.被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本。
2.法定相続人の戸籍謄本。
3.法定相続人の住民票。
4.相続する不動産の固定資産税評価証明書。
5.法定相続人の印鑑証明書。
6.遺産分割協議書遺産分割協議書については、遺産分割のページで作成した協議書をそのまま使用することができます。
申請書の作成
登記申請書の作成については、当司法書士法人にご依頼いただける場合は、すべて当法人の司法書士が担当します。通常、相続する不動産の所在地を管轄する法務局に申請し、1週間~2週間ほどで不動産の名義変更が完了します。登記申請する際には登録免許税の納付が必要になります。固定資産税評価証明に記載されている不動産の価格に1000分の4を乗じた金額となります。
※例)固定資産税2000万円の不動産の場合、8万円が登録免許税となります。
土地を分けてから登記する場合
土地を複数に分割して相続する場合は、相続登記の申請をする前に、土地を物理的に分ける手続きが必要です。地積測量を行い、1つの土地を複数の土地に分ける土地分筆登記の申請をします。その後、各相続人名義に名義変更します。
分筆は土地家屋調査士の業務になります。当事務所でもパートナーの土地家屋調査士と対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。